コミュニケーションについて考える

伝えること、ではなく、伝わっていること

会社に属していると一人で仕事をするという状況はなかなかありません。複数人で仕事にあたるのが一般的です。複数人が共通目的・貢献意欲・円滑なコミュニケーションを持っている集団を組織と呼びます。

コミュニケーションと言えば、どういったイメージを持たれるでしょうか。情報の伝達のようなものを思い浮かべる人も多いかと思います。ですが、英語の「communication」の語源は、ラテン語の「common」であると言われており、伝達というよりは共有という意味合いが強いです。「相手に伝わっていなければ、伝える側が悪い」とよく言われますが、それはこの「共有する」という真の意味から考えれば妥当な表現だと考えさせられます。

この相手に「伝わっていること」を意識すると格段にコミュニケーションに対する意識が変わります。実際の業務の中で、「伝わっていること」の確認不足のために失敗をした経験は誰にでもあると思いますが、その際の原因が他人から自分に置き換わります。そして具体的な対策として、言いっぱなしではなく最後に念押しをするようになったり、再度どういうことか言ってもらったり、コミュニケーション後の行動を注視したりすることできちんと伝わっているか確認するようになります。

けど、それってすごく手間がかかりますよね。

コミュニケーションコストについて

コミュニケーションコストという言葉をご存じでしょうか。これは、時間=コストであるという考え方をもとにコミュニケーションに費やしている時間を費用とみなす考え方です。

コミュニケーションコストを下げることで、意思決定のスピード感が生まれ競争優位に立てると私は考えていますが、中小企業はとにかくコミュニケーションコストがかかります。

一般的にコミュニケーションコストがかかる要因としては、次の3つの格差があります。

「情報量」「理解力」「価値観」です。

「情報量」は、例えば社長と一般社員では持っている情報に大きな差があるのは容易に想像できると思います。

「理解力」は、同じ情報を見ても解釈や理解の幅が違ってくる点です。

「価値観」は、同じ情報量で同じ解釈をしても、同じアウトプットがでるとは限りません。そこには個人の持つ「価値観」が上乗せされて出てきます。

そして、特に中小企業がコミュニケーションコストを要するポイントとして、「情報流の未整備」と「共通言語がない」ことがあげられるのではないでしょうか。

情報流とは言いかえればフローです。これは経験則になりますが、業務フローや職務分掌や情報伝達の仕組みがない組織も多く見られます。もしくはあったが無視されて機能していない組織。その結果、各人が自分で自分の業務の幅を決めてしまい、業務間のインターフェイス部分がすごく雑になり、その結果としてうまく情報が受け渡しされず届けたいところまで届かない。なので、間をすっ飛ばして直接伝える。すると、その間の処理していた部門(もちろん部門を経由することには何かしらの意味がある)で処理漏れが発生するという悪循環に陥っています。共通言語がないということは、例えば「受注」という単語が出てきたときにみんなが「お客様からの確定受注」と認識できない状態です。「受注」は状況や使う人によって「確定受注」だったり「内示」だったり「生産指示」だったりするので、都度、「その受注ってどういう受注?」といったような無駄な会話が生まれています。

つまり、非常にコミュニケーションコストがかかっている状態となります。

格差を埋める

なによりの問題点は、会社を牽引していく立場にある人が、このコミュニケーションコストというものに無頓着なことです。これまでは、同じような業務を同じようなメンバーで行っていたので、それこそ阿吽の呼吸で物事がうまく進んでいったのだと思います。しかし、メンバーの新陳代謝も起き始め、会社をとりまく環境も大きく変わっているこの時代に社内のコミュニケーションにそこまで多くの時間を割いている暇はないのです。

そのためには社内で円滑なコミュニケーションをとる仕組みが必要です。

「情報量」の格差は、リーダーの情報開示度で高めていくしかないでしょう。情報に対しては情報の正確性よりアクセス性が重視されるというデータもあります。社内の共有サーバの整理を進めて、欲しい情報に容易にアクセスできる状態を作るのも有効かもしれません。さらには社内のデータを一つのデータベースに集約して、いつでも、だれでも見れる、使える状態を作るのが必要です。

「知識量」の格差は、個人の能力にもよるところが多いですが、リーダーみずからメンバーにセミナーする場を設けたり、社外研修にも積極的に参加させるなどで地道に埋めていく必要があります。最悪の場合は、適材適所も視野に入れることも必要でしょう。

「価値観」の格差は、本来であれば採用時にふるいにかけるのがベストですが、実情はそうも言ってられません。理念や哲学などを熱意をもって伝えてそれこそ「伝わっている」状態まで語るしかないのでしょう。

この3つの格差を埋めるにはリーダー自らが情報を発信し、知識を伝承し、哲学を埋め込む、すなわちメンバーとコミュニケーションを密にとることが大切なのでしょう。

しかし、コミュニケーションコストを減らすためにコミュニケーションをする。なんとも不可解なことになってしまいました。

コミュニケーションとルールの反比例

あとは「情報流の整備」と「言語の統一」も行わなければなりません。こちらはコミュニケーションというよりはルール化です。こちらも相応のコストがかかりますが、どちらも投資のような感覚で捉えてもらっても問題ないのではないでしょうか。

リーダーの時間を費やしメンバーとの格差を埋め、時間をかけてフローの整備とルール化を行うことで、今後発生するコミュニケーションコストが大幅に下がるのであれば安い投資ではないでしょうか。

そもそもコミュニケーション量とルールの量は相反する関係性です。ルールがかっちり決まっているとお互いにコミュニケーションする必要もないですし、逆にルールが決められないほど変化が激しいと都度コミュニケーションをとり意思決定していくことになるでしょう。

これから必要なこと

今後、リーダーに必要なのは、

コミュニケーションコストを意識しながらも従業員としっかりコミュニケーションをすること。

ではないでしょうか。

私のようにリーダーのサポートをする人は、

会社の組織をウォッチしながらコミュニケーションの質と量とルールとのアジャストをしていくスキルが必要になってくるのではと思いを馳せ、まだまだ勉強することが山積みだなと実感しました。